【体験レポート】指宿・山川で体験した氷点下50度の冷凍庫から「鰹節」ができるまでの工場見学
鰹節製造工程の工場見学の流れ
鹿児島県指宿市・山川地区は、日本を代表する鰹節の三大産地の一つです。
今回はそんな山川で水揚げされたばかりの鰹から半年かけて、最高級品とされる本枯節ができるまでを見学できる「鰹節製造工場見学」を体験してきました。
山川水産加工所に集合 ガイドさんと合流して9:00スタート
山川港には、マイナス50度の冷凍設備を備えた漁船が獲れたての魚を瞬間冷凍した状態で、ぎっしり積み込み港へ入ってきます。今回はちょうど水揚げ・仕分け作業の時間帯に立ち会うことができ、リフトカーが行き交い、マグロやカツオが次々と運ばれる光景は迫力満点でした。
スタートは①9:00 ②10:00 ③11:00 ④13:00 ⑤14:00 ⑥15:00 の6回。
オススメの時間帯は9:00か10:00スタート。比較的、全行程を見学できます。午後の時間帯だと、骨抜きの作業を中心にしていたりと一部行程が終了してしまっている場合も。
氷点下の50度と30度の冷凍庫を体験
見学では、実際に魚が一時的に保管される冷凍庫体験も。氷点下の30度と50度の冷凍庫へ実際に入り、どのように保管されているかを間近で見ることができます。ちなみに氷点下50度は南極大陸の平均気温と同じだそう。 中に入ると、思わず悲鳴が出るほどの寒さ!濡れたタオルを振ると一瞬で凍る体験や、屋根まで積み上げられた鰹節の光景は圧巻です。
こちらの動画で氷点下50度の寒さ伝わりますか?(笑) ※音量注意
ここで一時保管された鰹節は、昼になると山川に20か所ある鰹節工場へ運ばれいきます。
本枯節の製造工程を学ぶ
鰹節は主に荒節(あらぶし)と本枯節(ほんかれぶし)の2つがあり、指宿は鰹節の最高級品とされる「本枯節」の生産量が日本一。全国のシェアの7~8割を占めています。今回はこの本枯節が完成するまでの工程を創業80年余りの老舗、大丸鰹節(有)さんで見学をさせて頂きました。
▶本枯節ができるまでの工程
①解凍
冷凍された鰹を自然解凍または水と電気での振動で解凍をします。
②生切り
頭はカッターで落としますが、それ以外は全て手作業で捌いていきます。鰹節の美しい形を作るには高度な技術が必要で、重要な工程の一つ。
③煮熟(しゃじゅく)
約2時間、じっくり煮ることで身崩れを防ぎ、タンパク質が凝固され旨味が凝縮されます
④骨抜き
11:00~16:00頃までは骨を一本ずつ手作業で抜いていきます。根気のいる作業ですが鰹節を製造するうえでは絶対に外せません。
⑤成形(もみ付)
骨を抜いた穴を、かつおのすり身で埋めて表面をコーティングしていきます。このひと手間、後のカビ付けの出来を左右する大切な行程だそう。成形した後は水分を抜くため、薪(まき)を燃やした熱と煙で2日間程度燻します。
⑥焙乾(ばいかん)
鹿児島の樫の木を薪(まき)として使用し燻し乾燥させていきます。夏場の体感温度は約50度にもなるのだとか。焙乾炉は地下から6階まであり、約2週間ほどかけて水分を徐々に抜いていきます。
▶ここで「荒節」は完成です(スーパーなどに売っている削り節は、荒節で「花かつお」などで販売されています)
⑦表面削り
燻されて真っ黒になった表面を少しずつ削り出して形を整えていく様子は、まさに職人技
⑧ 天日干し・カビ付け
優良なカビを付けをし 天日干しします。天日干しとカビ付けを4回繰り返すことで完成です。天日干しの際に雨に当たると商品にならないため、管理は非常に繊細です。完成した本枯節は、割ると綺麗なルビー色。カビにより水分がなくなり 「世界一固い食べ物」として認定されています。
直営店でのお楽しみ
見学後は直営店へ。削りたての本枯節を試食すると、ふわふわで口の中で溶けて、香りがふんわり広がります。本枯節の削り節、一本節、鰹みそ、新さつまぶし、厚削りなど工程を知った後の買い物はどれも特別に感じられます。
郷土料理「茶節」で締めくくり
最後は、自分で本枯節を削って茶節体験。茶節は鰹節・味噌・緑茶・お湯を足した、昔ながらの鹿児島の郷土料理。疲労回復や二日酔い、風邪の時にも飲まれてきたそう。本枯節は想像よりも固く、削っているそばからいい香りが。今回は削り節と麦みそに入れたコップにお湯を注いでその場で頂く、シンプルなのにこれ以上ない贅沢です。
お申込み先
NPO法人 指宿観光&体験の会 (TEL・FAX 共通 0993-22-3827)
※詳細等は直接お問い合わせください
統括
山川での鰹節工場見学は、食文化や伝統、SDGsを学ぶことのできる貴重な体験でした。修学旅行や研修先にも是非、勧めたい体験です。見学は90分がベースとなりますが行程の都合等で短縮するなど調整も可能です。是非、指宿に宿泊をして現地でしか味わえない体験をしてみませんか?




