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熊本 自然と歴史に育まれた人吉に建つ温泉旅館のバーテンダー 仁科 尚也さん|清流山水花 あゆの里

おすすめの宿|2019年6月12日

バーテンダーの仕事をする仁科尚也さんの写真

バーテンダーの仕事をする仁科 尚也(にしな なおや)さん

今回ご紹介するのは、人吉温泉清流山水花「あゆの里」。そのなかでもいま口コミを通じて話題になっているのが、マジックを披露してくれるバーマネージャーの仁科尚也さん。取材する前は、バーテンダーさんの余興のひとつだと高をくくっていたのですが、実際お話を伺ってみたところ、どうしてどうして、世界的レベルの腕前の持ち主だったのだから驚きです。なぜ仁科さんがマジックに興味を持ったのか、まずはそこから聞いてみました。

「小学生たちに尊敬されるお兄さんになるためにマジックを勉強しました」

ーー仁科さん、今日はよろしくお願いします。なんでも仁科さんはバーでマジックを披露していらっしゃるとか。

仁科 そうです。

ーーそもそもマジックに目覚めたきっかけはなんだったんですか?

仁科 ボクは大分出身なのですが、県が主催している「少年の船」というイベントがありまして、大分県の高校生たちをリーダーにすえ、その下に小学生10人くらいをつけて沖縄に行くという企画があったんですね。もともとボクもボーイスカウトをしていたということもあって、そこでリーダーに選ばれたんです。

ーーええ。

仁科 でも、初対面の小学生たちのリーダーになるってけっこう大変だなって思ったんですよ。

ーーしかもそれなりの日数を一緒に旅をするわけですしね。

仁科 そうなんです。それでたまたま当時、テレビでマジックが流行っていたので、「マジックを身につければ、小学生たちに尊敬されるお兄さんになれるんじゃないか」と思い、マジックを練習し始めました。

ーー最初は人心掌握術のためだったんですね(笑)。

仁科 そこで子どもたちに披露すると、もうみんな凄くびっくりするんですね。そして面白いのが、「少年の船」で、同じ高校生たちにも見せたんですが、簡単なタネなのに、「袖に隠していたんじゃないか」とか、色々探してくるわけです。

ーー深読みしてくるんですね。

仁科 年齢によって反応が違うのも面白かったです。心理学的というか。

ーーなるほど。

仁科 もうひとつ、マジックにはまった理由がありまして、ボクの祖父が亡くなった時なんですが、お葬式のあとに親戚で集まって会食をしたりするじゃないですか。

ーー精進落しですね。

仁科 そこで、祖父の友人のかたがいらっしゃったんですけど、ボクが落ち込んでいるのを見て、そこでマジックを披露してくれたんです。お店で売っている、マジックのグッズを使ったような簡単なものだったんですけど。

ーーでも、その気持ちが嬉しいですよね。

仁科 そこで、マジックというのは、悲しい気持ちを和らげることができるんだなということに気づきました。

ーーそこからマジックを勉強し始めたと。

仁科 はい、高校生の頃からずっと勉強していました。

ーー独学で?

仁科 基本的には本で、あとはDVDですね。いまの若い子たちはYouTubeだと思います。

ーー目標とするマジシャンは誰だったんですか?

仁科 スウェーデンのマジシャンで、レナート・グリーンですね。テレビにも出ています。

マジック好きが高じてアメリカへ。そして“マジックの殿堂”のオーディションに見事合格

マジックを披露する仁科さんの写真

ーー「あゆの里」に入るまで、ステージに出たりとかされてたんですか?

仁科 はい、マジック好きが高じて、アメリカに行きました。

ーーえ、マジックのために?

仁科 趣味でコンピューターのプログラミングをしていたものですから、プログラミングとマジックを両方学べるのはどこかなと調べた時に、当時はアメリカが一番よかったんですね。そこで親を説得して、留学することになりました。

ーー凄い行動力! アメリカはどこに行かれたんですか?

仁科 転々としたんですが、一番長くいたのはサンフランシスコですね。あとはロサンゼルスなどで、6年くらいいました。「あゆの里」には海外のお客様もいらっしゃるので、そういった時はアメリカにいた経験が役に立ってます。英語でマジックすると喜んでいただけます(笑)。

ーーそりゃそうでしょう(笑)。プログラミングはどうだったんですか?

仁科 はい、色々と勉強したんですが、心境の変化と言いますか、「人に何かを教えたい」「人と話す仕事につきたい」という気持ちが強くなり、向こうで数学の先生になる資格を取ったりしました。

ーーマジックではなにか実績は残されたんですか?

仁科 ハリウッドに「マジックキャッスル」というのがありまして、モハメド・アリさん、スピルバーグ監督、ジョニー・デップさんなどが会員になったりしています。

ーーいまググってみたんですが、Wikipediaにはこう書いてます。

1908年に創立。世界中から奇術愛好家が集まり、「奇術の殿堂」とさえ言われる。会員か、会員から招待を受けた場合しか入場することは出来ない。内部では、レストランやバー、ステージが多く設けられており、毎晩世界中からやって来た一流マジシャンの演技を楽しむこともできる。また、レクチャーという催し物も人気。ここでのショーに出演することは、ある程度の高評価へ繋がる。会員に名を連ねるのは、スティーヴン・スピルバーグやモハメド・アリなどの著名人も多い。

へー、知りませんでした。

仁科 そこのマジシャンのメンバーになるには、オーディションに合格しないといけないんですね。

ーーちょっとやそっとじゃなれるもんじゃないんでしょうね。

仁科 そこのオーディションに合格することが、プロマジシャンになるための登竜門だとも言われていて、世界中のマジシャンがやってくるんです。で、ボクも試しに受けてみたら合格しまして。

ーーよくわからないけど凄い!

仁科 マジシャン的には箔が付いたというか。それで帰国しまして、国内でもなにか出てみようと思ったところ、毎年箱根でマジックの大会があるんですね。自分は確かにマジックキャッスルのメンバーにはなれたけど、実際のところ、どのあたりの立ち位置にいるんだろうと思い、興味本位でコンテストに出たんですね。その時に、口からトランプを出すふじいあきらさんら錚々たるメンバーが出場していたんですが、一応、彼らを押さえて優勝しまして。

ーーおお! めっちゃ凄い!

仁科 「ああ、これくらいの立ち位置なんだ」と確認できました。

「バーテンダーをしていて一番楽しいのは、お客様の人生を垣間見れることです」

カウンターで接客中の仁科さんの写真

ーーでも、それだけの実績があったら、マジックで飯を食えるようになりたいと思わなかったんですか?

仁科 自分が好きなものを仕事にしてしまうと、それも普通の仕事になっちゃうよという話を聞いたことがありまして、ボクはマジックで人を楽しませたいと思ってはじめたわけですから、別にプロでなくてもなにか方法はあるんじゃないかと探した結果、こちらの「あゆの里」にたどり着きました。

ーー最初からバーテンダーとしての採用だったんですか?

仁科 アメリカにいた時は「サービス」を受けていたわけですが、日本では「おもてなし」なんですね。それがどう違うのか確かめたくて、まずはホテルで勤めたいと思うようになりました。もちろん、マジックもできるのでそれを売りにしようと考えました。でも、旅館さんは和風のイメージが強いので、洋風のイメージが強いマジックはなかなか受け入れてもらえなかったんですね。

ーーなるほど。

仁科 そんななかで、和洋折衷といいますか、バランスよく調和している「あゆの里」がいいなと思い、面接の時もマジックを披露しました。

ーーめっちゃウケそう!

仁科 「最高だから来てよ」と言っていただきました(笑)。

ーーそりゃそうですよね。

仁科 最初は客室係だったんですが、もともとお酒が好きだったというのもあったので、仕事が終わったあと、「あゆの里」の中のバーでお手伝いするようになったんです。で、そうしていると、「そんなにお酒が好きならバーに来ちゃいなよ」と言ってもらえたので、バーテンダーになりました。

ーーいまは「あゆの里」の「木綿葉川(ゆうばがわ)」にいらっしゃるということですね。マジックのことはホームページには載せていないんですね?

仁科 あくまでサプライズという気持ちなのですが、最近は口コミで来られるお客様も多いですね。

ーーそれだけの実績があるマジシャンのマジックを人吉で見られるってなにげに凄いことですよね。

仁科 ありがとうございます。

ーーお願いすればマジックはやっていただけるんですか?

仁科 はい、オーダーがあればさせていただきますし、こちらから雰囲気を見て、「マジックなどもありますが」という時もあります。例えば、ご夫婦でゆっくりお話をされているような場合は何も言いませんが、グループで来られていて会話が途切れているようですと、「もしよろしければ……」と申し上げることはあります。

ーーそこの空気を読むのは大事ですね。

仁科 ボクはマジックは宝石のようなものだと思っていまして、例えば自分から「どうでうですか、ボクの宝石きれいでしょ?」って言っても、言われた方はそんなに嬉しくないわけです。でも、「ちょっと宝石見せてもらえない?」って言われた時に、「あ、いいですよ」とお見せして、また宝石箱に仕舞う。そうすると、「また見せてね」と言われるんですね。なので、自分からガツガツ行かないようにしています。

ーーお店で披露するのはどういったマジックですか?

仁科 やはりカードですね。コインだと、チャラチャラ音がして、ゆっくり飲んでいらっしゃる方は気が散ってしまいますので。

カードマジック中の写真

ーーやはりそこも空気ですね。バーテンダーをされていて、どういう時が一番楽しいですか?

仁科 自分の人生はひとつですが、バーに来られるお客様は、けっこうお年を召した方が多くて、人生のなかでの、あっと驚くような体験談をたくさん聞けるんですね。他人が歩んできた人生を垣間見れるのが一番楽しいですね。

ーーいや、ボクは、きっとマジックでお客さんが喜ぶ顔を見た時と答えられると思っていたのですが、お客様から刺激を受ける側に立った時が一番楽しいんですね。

仁科 なのでボクは、お客様からお聞きしたお話のお礼としてマジックを披露しているって感じです。

ーー素晴らしい!

仁科 そういう気持ちから、マジックではお金はいただいておりません。

ーーそうなんですね。

仁科 たまに「これはお金を払って見るやつだから!」といってチップをくださるかたもおられるのですが(笑)、基本的にはいただきません。

「温泉を70年ぶりに掘り直して、泉質もとてもよくなったんです」

焼酎蔵やワインセラー手前の試飲コーナーの写真 焼酎を使ったカクテル3種類の写真

ーーちょっとお酒のお話もお聞きしましょう。なんでも旅館のなかに焼酎蔵があるとか。

仁科 球磨焼酎なのですが、こちらは米なので、芋と違ってクセがないんですね。例えばジンやウォッカ、テキーラなどのスピリッツ系の代わりに使うことができます。そこでおすすめなのが焼酎を使ったモヒートです。モヒートは普通、ミントとライムを絞ってラムを入れるんですが、そのかわりに地元の焼酎を入れます。これはオススメです。

ーーこれから暑くなるのでいいですね!

仁科 他には焼酎の炭酸割りにライムを絞ったものを、ボクらは焼酎ハイボールと呼んでいるのですが、ビールのようにグビグビ飲めます。

ーーでは温泉からあがったあとは最高ですね。

仁科 最高です。

ーーいいですね。

仁科 「木綿葉川」では、カラオケは置いていませんで、お席も6席となっており、ボックス席というのはございません。ですので、親しい方同士で、ゆったりとジャズなどを聴きながら過ごしていただくのもいいかと思います。あとはマジックなどもございます(笑)。

ーーですね(笑)。「あゆの里」全体のお話なども。

仁科 はい、まずは温泉をおすすめしたくて。今度、70年ぶりに温泉を掘り直したんです。泉質なんかも凄くよくなりましたし、フロントの目の前に飲泉という、飲む専用の温泉も湧き出ております。こちらの「あゆの里」の温泉はアルカリ性なんですけども、とても体にいいんですね。別名美人の湯と言われているくらいで、お肌もつやつやになります。

ーーいいですねぇ。

仁科 あと、これは人吉の観光情報になるんですけども、これからの季節は川下りに来られる方が多くなります。球磨川は日本三大急流のひとつに数えられており、若い方にはラフティングが人気で、20社以上ラフティングの会社があるほどです。自然を利用したアクティビティとして注目されています。

ーーじゃあ若い方もたくさん人吉に足を運んでいるということですね。仁科さん、どうもありがとうございました。

仁科 ありがとうございました。

人吉温泉 清流山水花 あゆの里
【TEL】0966-22-2171
【住所】熊本県人吉市九日町30